Rhythm リズム
雨がやんだ。
雨の音を聞きながら、雨の音を録音しようと思っていた。
そのまま雨の音を聞きながらねむってしまった。
いま紅茶をいれて、その眠るまえに出来たlO-Fi HiP HoPのリズムを聴いている。
これだ。MusEDLab Groove Pizza Groove Pizza
去年くらいからYoutubeでLo-Fi Hip Hopを聞きながら読んだり書いたりする時間がふえた。
もともとHip Hopが好き、とかまったくなく、たまたま見つけてなんだろうと思って聴いていると、不思議とじゃまにならない。 気持ちのテンションが上がるわけでもなく、下がらない。
珈琲を飲むのと似ているかもしれない。サイドエフェクトとして、音楽ではあるけど、音楽として入り込まない、環境の音のような感じといえばいいのか。
外の雑踏、たとえばスターバックスでもいい、そこでそこそこに人がいて、だれのことも知らないという中で本を読んでいるような、そんな感じ。
珈琲よりも紅茶かもしれない。
リズム。
リズムを音以外で正確に表現するということに昔から興味がありつつ、去年から本格的に調べだした。
まず、リズムを表現しているよくあるものに、ボックスタブといえば良いのか、四角形の中に8つや、16個やに分けられたところに印が入ったものがある。
そうそう、こうゆうやつ。こうやってまとまってたら良いよね。とPintarestで見つけたオリジナルを探すと、
Ethan Hein というひとのブログに行きあたる。ボックスタブとしたものについては、 ”Time-Unit Box Systems"と呼ばれているらしい。 このEthan Heinさんも、どうやらリズムをビジュアライズすることにすごく関心をよせていることがうかがえる。 音楽の研究者のような雰囲気。
この、Time-Unit Box Systemsと呼ばれる図で、現在、大半のパーカッションのスコア/シートが、このTime-Unit Box Systemsで描かれて表されていると思う。 他は、
こんなの。ドラム楽譜とでも呼ぶんだろうか。一番低そうな、下から上へ伸びた音符がキックドラム(bass drum)、真ん中の上から下へ伸びた音符がスネア(snear)、一番上の☒がクローズハイハット(Close Hihat )で、この3つだけ楽譜に表したもの。 BPM(ビート/分)は110で、Ethan Heinさんらが、つくったTime-Unit Circle SystemsであるGroove PizzaでつくってみたHip Hop風のパターンをMuseScoreという楽譜をつくるプログラムで楽譜風に編集してみた図。
これを見ても、実際にその音で聴いてみないことには、おそらく全く解れない。 実際のはこれ。 apps.musedlab.org
このGroove Pizzaは、おもしろくて、それは実際にやってみられるといいが、上のリンクのページにできているパターンを見ると、左下にSwingというスライダーがあり、この数値が22になっている。再生して一通りパターンを聴いた後、まず、このSwingのスライダーをいじってみるとどうなるのかやってみてほしい。 円の中の一番外側にふられた1から16までの数字の位置がどう変化するのかを見てみて、音がどう変化するのか、その関係性を感じとれるだろうか。
このGroove Pizzaは、Ethan Heinさんの研究をもとにRhythm NecklaceというiOS向けのアプリや、LOOPSEQUE、Figure (Propellerhead)などを参考に教育向けに作られたようだ。
Rhythm Necklace | The Ethan Hein Blog
教育向けって形容したけど、教育向けってどういうことか雰囲気でしかわからない。 この映像をながめてみると、雰囲気として「教育向け」が感じられるのではないかと思うが、実際「教育向け」はなんなのかわからないが。
こういう円をつかってリズムのシーケンスをつくる方式を、どう言うのか?それがわかると、さらによく調べられるだろうと思い、調べてみた。 ヒントは、「euclidean rhythm(ユークリディアン リズム)」だ。 これで、もう少し調べられる。
こういうのを実際にどうなるのか、やってみたいという場合、iOSであればいくつか見つかるが、PCであれば、XronoMorph: Loop generatorというプログラムをDynamic Tonalityというウェブサイトで提供している。
https://www.dynamictonality.com/
さて、こうしてリズムを俯瞰してながめられると、一見して理解しやすそうに感じられないだろうか。
横に横にと目で追っていく楽譜だと、1サイクルのループの規則性というのを瞬時に感じとるのは難しいけれども、こうして見るとたしかに見易い。
しかしこれは、リズムをモデル化して、単純にしてループさせているからこういうように見えるわけだ。
これも含めて、音を楽譜にしたり図にしたりすることをTranscribeというらしい。 最近それを知ったが、知ったとき、「そのままやん」と思った。もしかして、この「Transcribeする」は、日本だけで通じるのかもしれない。
以前に、とても複雑なパーカッションの場合、「Transcribe、どうするのか?」と考えていて、別にそれをしなくてはいけないわけでもないのに、やってみることと仮定して、方法を考えていた。
南インドに、KONNAKOL(コナルコ)という声でパーカッションを表現するものがあるらしい。これは、パーカッションを声で発音するというものなのかもしれないが、同じくインドの楽器でタブラという指で叩くものがあって、これがキーボードシンセサイザーのような楽器で、このタブラの練習では口で発音して、その発音にアサインされた音を指でタブラを叩いて出すらしい。 かなり早口の場合もあり、これは複雑なリズムパーカッションをTranscribeするのに継承されてきたものなのかもしれない。 日本ではU-zhaanが有名で、この口タブラを広めた。
そしてやはり、この口タブラ式のシーケンサーというのもインド古典音楽の学習用にあるらしくて、それはこういうのだ。
swarshala 2.0 www.youtube.com
南インドのKarnatic rhythmical と、五線譜での音価との対照
Jason Alder
インドの音楽事情はおもしろそうだが、冒頭にもどって、lO-Fi HiP HoPのリズムについて、さらに実験をしてみた。 冒頭のパターンは、Groove Pizzaで遊んでいると、4つまでパターンが連結できるので、もしかして小節の分解数の違うパターンも連結できるのかな?と思ってやってみたらできたので、最初を16ステップ(1ユニットを16分割)、次を13ステップ(1ユニットを13分割)と小節の拍のアタマが前後でズレるようにしてパターンを繋げてみたところ、あのようなリズムがつくれることがわかった。BPMは共通で110になっている。 Groove Pizzaは、つくったリズムをMIDIデータにしてダウンロードできるので、そのBPM110でつくったパターンのMIDIデータをMuseScoreで楽譜にしてみたら前半がBPM110、そして後半がBPMが変わっていた。 また、シーケンスを再生してみると、どうも違うようだった。修正するのは不可能ではないと思うが、もっと簡単に出来る方法がありそうだ。
そこでTracker*1というタイプのサンプリングシーケンサーを使って、今度はパターンをもう少し単純化してGroove Pizzaでつくってみたシーケンスをブレークビーツ(パーカッションのそれぞれの音を切り分けて、音階をつけてパターンに貼り付ける)にして、プログラムした。 前半が16stepで後半が11stepになっている。Trackerの場合は、難なく異なる分解能のパターンでもつくれるようなのでGroove Pizzaでつくったのと同じような手順でループをつくれた。 (正確にはこれは正しくない。Milkeytracker などのトラッカーでは、1パターンが一小節に対応している訳ではないことがわかった。 *2
) できたものは、これ
できたものを聴いてみると、どことなくなつかしいビートに感じる。 同じものをGroove Pizzaで見たらとてもわかりやすいと思う。 まったく同じではないけれど、これがそう。
このシーケンスがどうなっているか見てみると
Trackerのパターンの様子。 一番左のRwという列が、0からFまでで16step。0からBまでで11step。 次のNotが右に3列あるのが、それぞれのNotで一番左のC-4となっているのがベースドラム、真ん中のC-4はスネア、一番右のD-4とD#4はクローズハイハットで、音の並びは上から下へ進んでいく。
このファイルはここにあるのでダウンロードして確かめたい方はどうぞ。
MilkytrackerというTrackerシーケンサーでつくりました。Milkytrackerはフリーで使えますが、ただこの16ステップと11ステップのシーケンスをデータとして確認しつつ聴いてみたいだけだという方は、javascriptでそういった動作をするサイトがあるので、ダウンロードした16to11step.xmをウェブサイトで開いてみてください。
XM Player Written in 2016 by William de Beaumont http://www.uofr.net/~willdb/music/xm-player.html